「痛み」について

痛みって何でしょ?

腰が痛い。首が痛い。膝が痛い。。。

日々、痛みを抱えた方が来られます。

 

では、そもそも痛みってなんでしょうか?

何のためにあるの?

どうやったらなくなるの?

という疑問の解消にお役立てるようまとめてみました。

 

 

みなさんは、「痛み」って言われてまず何を想像しますか?

体の痛み
心の痛み
軽い
たまらん
いや~な
ズキズキ
ジンジン
キリキリ
ガンガン
刺すような

などなど、色んな表現があります。

 

「痛み」を経験したことがないという方はほとんど居ないと思いますが
一言に「痛み」といっても人によってとらえ方は様々です。

 

痛みを難しく言うと「疼痛」といいます。

 

腰痛女性

国際疼痛学会(そんな会あるんですね!)による定義では、痛みとは

「不快な感覚性・情動性の体験であり、それには組織損傷を伴うものと、そのような損傷があるように表現されるものがある」

とされています。

 

感覚でもあり、情動でもある。

怪我を伴うものと、怪我を伴っているような感じのものもある。

 

はい。
はっきりしないですね。

 

つまり、

第一線で研究している方たちですら、はっきりとは言い切れないみたいです。

 

 

ここではまず、「痛み」は感覚だけにとどまらず、情動にも左右される。
と、覚えておいて下さい。

 

急性と慢性と「〇〇〇〇」

みなさんも、耳にしたことがあるかと思います、「急性の痛み」と「慢性の痛み」。

 

「急性の痛み」は

体のどこかが傷ついて、その部分の痛みセンサーが反応し、そこから発信された信号が脳へ伝えられて感じるものです。

これは、体の異常を知らせるサイレンの役割を果たし、なくてはならない機能です。

 

「慢性の痛み」は

3ヶ月~半年以上の長期にわたって続くようなものとされています。

 

急性と慢性が混在していることもあります。

 

 

そしてもう一つ。

 

急性の痛みの原因である傷口は治っているのに痛みが治まらなかったり、

検査ではどこも悪くないのに、長期にわたって痛みが続くもの。

 

熊澤孝朗さんの著書『痛みを知る』ではこのような痛みを

「慢性痛症」と呼ばれています。

 

 

「痛みの系が歪むと、本来なら痛みとは感じないような軽い刺激や、寒さや気圧の変化、感情が昂ぶったり何かを思い出したりというきっかけでも痛みが起きたりします。このような痛みは傷を知らせるものではないので、明らかに警告信号としての意義を失ってしまった痛みです。」

 

引用元: 熊澤孝朗『痛みを知る』東方出版2007年 21頁

 

とされています。

なんだかややこしいですがこれは、痛みの経路そのものにヒズミが生じて起こっていると考えられています。

 

変わりやすい痛み

ではヒズミはどうして起こるんでしょうか?

 

みなさんは言葉を覚えるとき、どのようにしますか?

新しく動作を覚えるとき、マニュアルを覚えるときはどのようにしますか?

 

多分、くり返し使ってみたり、くり返し練習をされるのではないでしょうか。

 

神経回路に刺激がくると、そこが興奮します。
再び刺激がくると、また興奮します。

このくり返しが長時間にわたり、できるもの
それが「記憶」です。

 

痛みも同じように、くり返されることによって、 一種の記憶のようになり慢性化してしまうことがあります。

さらに、くり返し長時間の痛み刺激で 神経系のネットワークが混線をおこした状態になってしまいます。

 

これが痛み経路のヒズミです。

要するに混線。

混線により、本来は痛みと関係ない刺激でも 脳に伝わるまでに痛みの経路に乗り換え 痛みとして脳に伝わることがあるそうです。

 

こうなると、痛みがあちこちに現れたり、強弱が変わったりとするんですね。

この、混線を起こさないようにも、痛みは早く取り除いた方がいいことがわかります。

 

腰痛の女性

痛みはないほうがいい?

みなさんは痛みはあった方がいいですか?無いほうがいいですか?

普通に生活している分には、無いほうがいいですよね。

 

じゃあ痛みって必要ないかっていうと そんなことはありません。

痛みを感じないとどうなるでしょうか?

 

どこかをぶつけたり、ケガをすると、危険信号としての痛みが発信されます。

この危険信号があるから、
「これ以上は危ない」「ぶつけたらあかん」
と、学習できるわけです。

 

「先天性無痛症」という病気があります。

生まれつき痛みを感じないというもので、痛みの経験がないため、体をかばうことができません。

 

足をケガしても、ほったらかしになり、そこから化膿して 最悪の場合、足を切除しないといけない事態になったり、ぶつかって骨折してても気付かなかったり。。。

 

痛みがないというのも怖いですよね。

 

このように、「痛み」は自分の命を守るための基本機能で、なくてはならない存在です。

痛み止めで、無理やり痛みを止めるのも時には必要かと思いますが、痛みは体からの危険信号だということは認識しておいて下さい。

 

危険信号を無視し続け使い続けると。。。

だいたい想像つきますよね?

 

痛みを無理やり止めて誤魔化すのが体にとっていいか悪いか。

痛み止めに頼ってしまう方は、ぜひ一度考えていただきたいと思います。

クスリに頼る前に生活習慣の見直しで十分な場合もありますのでね。

 

幻の痛み

幻肢痛って聞いたことあるでしょうか?

切断して無くなってしまっている手足に感じる痛みがあるそうです。

 

無いところが痛む。

不思議ですよね。

 

幻肢痛を経験されている方は少ないと思いますが、寒くなると痛む、や、天気が悪いと痛むの経験がある方は少なくないと思います。

あと、ケガはないのに触れただけでも痛む異常なもの。

これらは、受容器が興奮して痛み信号を伝え、脳で痛みを感じるという正常の機能では説明がつきません。

 

ここで痛みの定義を再び。

「不快な感覚性・情動性の体験であり、それには組織損傷を伴うものと、そのような損傷があるように表現されるものがある」

 

この、後半部分の
「そのような損傷があるように表現されるもの」が、説明がつかない痛みにあたります。

 

ストレスや自分の思い込みでも痛みを作り上げてしまうこともありますので注意が必要です。

痛い痛いと痛みにとらわれすぎていると、痛みは残りやすくなってしまいます。

何事にも、とらわれるのは良くないです。

痛みも、否定はしなくてもいい、でも、とらわれない。

心も体もリラックスさせることが痛み治療には必須です。

 

リラックス

鋭い痛みと鈍い痛み

痛みには、チクッとくる鋭い痛みと、ズーンとくる鈍い痛みがあります。

 

足の小指ぶつけたとき、まず鋭い痛みがきて、あとから、ズーンときますよね。

鋭い痛みと、鈍い痛みのそれぞれに対応する痛みの感覚受容器が脳へ信号を送るのですが、脳までの道筋と脳の中での道筋が違うことで痛いと感じるまでの時間差を生み出し、遅れてくる痛みがあるようです。

 

各刺激に反応しそれを伝える神経線維にも種類があり、繊維の太さや伝導速度に違いが有るのです。

 

これが、鋭い痛みが素早く伝わり、鈍い痛みは遅れてくるということを作っています。

そして、この鈍い痛みの受容器も、痛みの変化を引き起こす一因となっているようです。

 

痛みのセンサー

鋭い痛みの役割は
体の「どこ」が「いつ」痛みの刺激を受けたのかを脳に素早く伝えることにあります。

 

「高閾値機械受容器」という痛覚受容器で感じられます。

名前が難しすぎますね(汗)

閾値っていうのは境界線。

高い境界線なので、強い刺激にだけ反応します。
一方、ズ~ンとくる鈍い痛みのほうは
識別性の低い、どの部分が痛いのかあまりはっきりしないような痛みです。

 

こちらは
「ポリモーダル受容器」という痛み受容器で感じられます。

「ポリ」は「多くの」という意味で
「モ-ダル」は「モード」、つまり「様式」という意味だそうです。

多くの様式の刺激(物理的、化学物質によるもの、熱によるもの、炎症など)を一つの受容器で受け付けていることからこの名前に。

 

冷たいという刺激には冷受容器と言う冷たいという刺激専門の受容器があります。

というように、たいていの受容器はある特定の刺激に対して反応します。

 

が、ポリモーダル受容器は専門分化されていないことが大きな特徴。

専門分化されていないということは原始的ということでもあります。

 

進化の過程で、専門分化したしくみが作られていく中、原始的な部分も残されている。

ここに、痛み系の複雑さがあり、「慢性痛症」というような変な痛みをつくってしまっているのですね~。

 

肩こり女性

痛みが痛みを抑える

痛みが出る仕組みをざっくりとお伝えしましたが、体には痛みを鎮める仕組みも備わっています。

 

体のどこかを軽くケガしたとします。

そのあとに大ケガしたら、もともとあった軽いケガの痛みは、感じなくなったり気にならなくなります。

逆に、一番痛いとこの痛みが治まってきたら他のとこの痛みが気になりだしたり。

 

みなさんもそんな経験ありませんか?

これは、痛み信号が、体のあちこちから一度に入った場合は、一番緊急性が高い箇所の痛みが優先的に伝わり、ほかの箇所はとりあえず後回しになる。

という、機能が働いているからのようです。

 

ほかにも、体に備わっている鎮痛系として「脳内麻薬」といわれるものもあります。

また、何かに集中していたら痛みを忘れてたり

「痛いの痛いの飛んで行け~」で痛みが消えたり。

 

情動で痛みを発することもあれば、鎮めることもできる。

体ってほんとよくできてますね。

 

バイタルサイン

みなさんはバイタルサインって聞いたことありますか?

・体温
・血圧
・心拍
・呼吸数

この4つが、バイタルサイン(生命徴候)と言われ人の生命活動でもっとも重要なものとされています。

 

アメリカでは、「痛み」を第5のバイタルサインとしているようで、医療者側は、痛みの有無、程度、どんな痛みかまで確かめ記録して対応することが義務付けられているそうです。

 

それくらい、生きていく上で痛みって重要な役割を持っているってことですね。

 

こんな重要な役割を持つ痛み。

クスリで抑えるのも一時的に必要な時もあるでしょう。

 

でも、クスリを常用して抑え続けても根本的な解決にはならないし、むしろクスリの副作用で体に負担をかけます。

痛みは体からのサインであることをお忘れなく。

 

ハワイで歯痛

あれは、忘れもしない22歳の時…

いや、23歳だったかな…

忘れとるやないかい!

それくらい前に行ったハワイでのお話です。

 

友人と3人で、ハワイへ行きました。

3泊5日だったかな?(忘れとる!笑)

スキムボードをしに。

 

僕の体に異変が起きたのは2日目の朝でした。

 

めちゃくちゃ歯が痛いんです!

 

みなさんご存じ無いと思いますが

僕、あんまり虫歯なったこと無いんです。(知らんがな!情報)

 

なもんで、

なんやこの痛さは! となったわけです。

 

何も手につかない位、痛い。

どうやら前日、ビール飲みながらお菓子食べて、歯磨きせず、そのまま寝落ちしてしまったのが原因かと。

 

今さら歯磨きしてみても痛い。

海に行く予定だったので大ピンチ。

 

そこへ、友人の一人が 「これ飲んどき~」と、くれたのが痛み止め。

 

ほんまに効くの?

と思いながらも、痛くてどうしようもないから飲んでみる。

そして、痛いまま海へ出発。

すると、だんだん痛みが引いてきまして、海入る頃には全然痛みなし!

僕のテンションも回復。 おかげでスキムボードを満喫できました。

 

半日もしたら痛み徐々に戻ってきたのでもう一回くらい飲んだかな。

 

翌日以降は痛み止めはいらないくらい。
だったと思います。

帰国後、歯医者に行ったかも定かではない。
(やっぱり忘れてる!)

 

痛み止めに頼るのは良くないが、場面によってはとても有効です。

ですが、痛み止めが効いたとしても、あくまでも痛みを止めているだけであり、治ってるわけではありません。

適切な対応が重要です。

てお話でした。

 

あの時、友人が神様に見えたのは覚えています(笑)

 

歯痛

痛みの鎮め方

痛みをどう鎮めるか。

痛みは早く取り除いた方がいいのは上の方でお話しました。

それは記憶として残ったり、混線を起こすことになるからであると。

 

じゃあどうやって取り除くの? となるのですが

ぶつけて、捻ってなどで、腫れて熱も持ってるときは患部のみアイシングしてください。

 

ここでのポイントは患部のみというとこ。

基本的に冷やすのは体には良くありません。
血管細めて流れ悪くなりますので。

 

腫れて異常に熱をもってる患部のみを冷やし、体は保温を心がけてください。

 

腰や膝など、筋肉・関節に関して言えば
「痛みが出る動きをしない」
というのが、一番手っ取り早いです。

 

腰を後ろに反らして痛いなら、反らさない。

正座して痛いなら正座をしない。

立ってるだけで痛いなら、楽な立ち方を見つける。(片足を台に乗せるなど)

 

単純なことなんですが、重要です。

痛みを抑える、消すのではなく、 痛みの信号を出さない。

ということです。

そうすることで、交感神経の過度の緊張を排除し組織の修復を促します。

 

痛みとアンチエイジング

痛みは老化を促進する?

ズバリ、します。

 

ずっと痛みに悩まされ、疲れた顔をしてる人って老けて見えますよね?

逆に、毎日快適に過ごしてらっしゃる方は若く見えることが多い。

 

若さを保つには

食事
運動
睡眠

などが重要といわれています。

もちろん精神的な要素も大きいですが、精神面じゃなくても身体が持っている機能として老化を進めてしまう理由が痛みにはあります。

そこには活性酸素というものが関与してくるのですが、ここでは割愛します。

 

ゴール設定

痛みの改善においてゴール設定は大事といわれています。

痛みが取れてなくなる、
という大まかなゴールだけでなく、 「○○が出来るようになる」というゴール。

 

これは、痛みを持っている側の意思が必要です。

「治して欲しい」 という気持ちだけでいるよりも、自分も治療に参加する意識、「治療の主役は自分なのだ」という意識が重要になってきます。

 

ちょっと厳しい言い方になりますが、痛みは「自己責任」です。

 

不慮の事故によるケガは別として

「痛み」を起こしているのは自分の生活習慣、体の動かし方が大きく関与しています。

 

つまり、生活習慣、体の動かし方を見直すだけで痛みが快方へ向かうんです。

生活習慣病は生活習慣でなんとか出来るんです。

 

「治してもらう」
から
「自分も治療に参加する」

この意識を持つだけで、ゴールは達成しやすくなります。

 

「1日1mずつ、歩く距離伸ばす」
「ちゃんと治して、山登ろう」
「冬の間に治して、春になったらサーフィン再開!」

 

何でもいいんです。

人と比べる必要もありません。

あなたが定めたゴールが大事です。

 

まとめ

痛みは感覚だけでなく、情動にも左右される。

痛みは記憶される。

痛みはなくてはならないもの。

痛みを鎮めるには交感神経の過度の緊張を緩める必要がある。

リラックスが大事。

自分で治すという意識、生活習慣の見直しで快方へ向かう。

 

ということを述べてきました。

 

 

時には、家族や友人の手助けを借りることもあっていいと思います。

依存しすぎない、程よい相互依存。

快適な生活を送っていく上でこれが大事かと。

 

何事にもとらわれすぎず、リラックスしていくことが

痛みと上手につきあっていく方法かなと思います。

 

 

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